「今様歌」とは当時の流行歌、もっとも「今的」な歌をいう。激しく時代が動いた院政期に、権力の頂点にありながら今様に魅せられていたのが後白河法皇。そして法皇自らが今様の歌詞と逸話を集大成したのが「梁塵秘抄」だ(もしすべてが揃っていたら『万葉集』にも匹敵する歌謡集であったと推測されるが現存するのは2割に満たない)。いつの時代も過去のいい思い出や悔恨、未来への不安に苛まれながら生きる「今」。常に過去と未来の狭間にある「今」。生きていると歌わずにはいられないんじゃないだろうか。溢れる思いを旋律にのせたくなるのは、今を一生懸命生きているからこそ・・なのかも。

馬場光子先生のお話を聴きながら梁塵秘抄の歌を読むとなんだかとっても「歌の本質」みたいなものがよく分かる。文字はすぐに過去になっちゃうけど、「うた」はそこにいる人の直声がないと成り立たないし。文字文学とはまた違う魅力を放つ、うたの力に触れたくなったら、この講座へぜひどうぞ。詳細➡梁塵秘抄