小浜から京都へ海産物を運んだ道、「鯖街道」はいくつものルートがあるようだ。その中で若狭街道といわれる主に現在の国道367号線上の魅力的なスポットを5回に分けて訪ねた。実はこの講座では鯖が運ばれたのとは逆コースで、第1回が京都・三宅八幡と八瀬、次に大原、そして朽木、熊川、最終回が小浜という辿り方をした。
 前半2回は京都の文化史を現地で生き生きと語ってもらうならこの人しかいない・・とオファーした歴史ライター・薄雲鈴代先生の案内で、期待通りに、知らなければ通り過ぎてしまうようなことがたくさん盛り込まれた充実した探訪と散策の時間を過ごした。三宅八幡のいわれ、八瀬の風土、そこに生きた人びとのこと、山と街道沿いの地形、鯖寿司の微妙な味の違い、不遇をかこった親王の墓に詣でたり。雨の大原では三千院の色とりどりの紫陽花と苔の美しさも心にしみた。
 後半3回は秋から冬の設定で、朽木の古民家でこれまた京都とは一味違う鯖寿司をいただきながら、この地の歴史秘話を聞き、朽木氏ゆかりの寺まで歩いた。熊川ではこの宿の家々がなぜシンプルなのかという興味深い話も聞いた。そして小浜。古代日本では日本海側が国際的に開かれていたのだとあらためて思う。お水送りの神事を行う神宮寺では神仏習合の原型をみる。朽木、熊川、小浜の案内をして下さったのは歴史ライターの藪内成基先生。城郭研究をしている注目のライターで、丁寧な取材に裏打ちされたガイドはここぞという見どころを逃さない。終わってからもしみじみと楽しい近江越えだった。
 「鯖街道を歩く」5回を終えて実感したのは、日本の地方にはそれぞれに知られざる歴史があり、そこに生きる人々に守られてきた美しい仏像や独特の信仰の足跡があり、知恵のつまった食があるということだ。豊かだと思った。
 ちなみにどこの鯖寿司も美味しかったが、若狭では焼きサバが最高!(※あくまで個人的な見解です)  

                 ご参加の皆さま、ありがとうございました。

 

 2019年(令和元年)5月~12月催行  写真撮影:藪内成基講師