2024年 講座スタートいたしました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
  1月24日、今季一番の寒波到来。北陸をはじめ日本海側は大雪で名古屋でも朝から雪が降り続いていた。そんな天候の中でも今年はじめての仏像講座は予定時刻に開講。ご受講の皆さまと、通常よりも早めに到着してくださった先生に感謝です。そしてあらためてこのクラスの仏像愛の深さに感じ入った次第です。
 
 さて、この日のテーマは東大寺俊乗堂の阿弥陀立像(快慶作)について。仏師としての歩みの中で、この立像が文字通りどんな「立ち位置」にあるのかを史的に、造形的に詳説。
 
 或る仏像を鑑賞するために、他の仏像と比較してみることでその特徴がどんなものなのかが浮かびあがる、という講義の展開は『対比でみる日本の仏像』(2019 パイ インターナショナル)の著者ならでは。
 
 しかし…この日の比較対象は同時代の他の人の作でなくって、他ならぬ快慶その人の、製作年代が異なる仏像なのだ。仏師・快慶の変遷史。もしかして製作態度の史的解剖じゃないだろうか。快慶本人が聴いたらびっくりするかも。
 先生オリジナルの資料で辿ってみると、ほんとだ。仏師駆け出しからへ熟練と思われる頃までに微妙に、確実に変化している!快慶の中で、そのターニングポイントに作用するのは何だったのだろうなんて、分かるはずのないことを想像してみたりした。
 
 それにしても、ひとりの作者の仏像をこんなに詳しく聞ける講座なんて他にあるかしらん?
(講師:奈良国立博物館名誉館員・鈴木喜博氏。「本の仏像シリーズ」毎月第4水曜日13:30~15:00)