三重県尾鷲市須賀利は深い入江になっているので古くは往来する廻船の風待ち港として栄えていたそうです。平地はごくわずか、山へびっしり張り付くように瓦屋根の民家が建っています。集落を歩くとみかん、お菓子、生活用品、洋服…etcがすべて店内に揃っている懐かしい「よろづや」のようなお店や、銭湯だったタイル張りの建物など、まさに漁村の暮らしの風景。観光地化されていないのです。昼食は集落のおんばん(土地のことばでおばさん)が心づくしの漁師料理をふるまってくださいました。申し分のない晴空と深い青緑の海を眺めながらの楽しい食事で、おんばんの歌う尾鷲節にも耳を傾けました。「今はとてもいい景色だけれど、夕方や雨の日になると人がほとんどいない。子どもも少ないしね」と、地方過疎地の寂しさも。南海トラフ地震が起きた場合の想定では、この地へ押し寄せる津波は10mともされていて、集落のあちこちに避難経路も設けられていました。ウオーキングを始める前に伊藤先生が「今日の散策にあたっては、須賀利の皆さんの生活空間にお邪魔するんだ、ということを忘れないないように」と言われたことにも納得。