でもマントルを掘れば、地震も生命起源も将来も、嗚呼、多くのことがきっと見えてくる!
すでに約半世紀前に月面着陸を果たし、今や巨大望遠鏡で宇宙の果ての情報を得られる時代になっても人類は、足元の地球内部のマントルに未だ到達したことがない。現在、マントル到達の可能性を持つ世界でただ一つの船が、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する地球深部探査船「ちきゅう」だ。2005年7月に完成した「ちきゅう」は、 世界最高の掘削能力(海底下7,000m)を持つ。何気なく暮らしているこの地球は、その内部に過去の気候変動、生物の活動、地殻変動の経緯を物語る痕跡を記憶している。なので「ちきゅう」がその地球深部を掘り、過去の情報を得られれば、それを基に巨大地震発生のしくみ、地球規模の環境変動、地球内部エネルギーに支えられた地下生命圏、新しい海底資源の解明など、人類の未来を開いていける可能性が出てくるのだ。人は頭上ばかりでなく地面も見るべし!
「岩石が語る地球のはなし」講師の道林克禎 静岡大教授は、「ちきゅう」に乗り込み、直接掘削に関わりながら研究を続ける熱きフィールドワーカー。現在は海溝陸側斜面のカンラン岩を掘削する「前弧モホール計画」を立案し推進している。もちろん最終目標としてのマントル(モホール)掘削を見据えながら。今夏も南洋へ船出する先生。先生の話やミレニアム単位をものともしない目的意識に接すると目先の損得に振り回されている毎日を反省せずにはいられない。講座案内2017岩石が語る地球
リンク➡ 地球深部探査船「ちきゅう」に関して